ジェイクールのスタッフ雑記

王位戦第2局 決定打を欠いた矢倉戦。羽生王位が勝利を手繰り寄せ1勝1敗に

木村一基八段が羽生善治王位に挑戦している第55期王位戦。
その第2局がで徳島県の「渭水苑」にて23日、24日と行われました。

戦型は1局目に続いて矢倉戦。先後交代で往復ビンタとなるか注目です。
先手は4六銀、3七桂、3八飛、1ニ香の形で、後手は飛車先を決めて、角は7三に。
お互いガッチリと駒組みをしました。

ここから先手は攻めの2五桂。後手は対応する形で4二銀と引き、
3五歩と突いたところから開戦に。

本局は、この後も前例のある形が続き、それもあってか指し手は進み、75手目で先手が封じ手の意思表示。
この局面でも前例が4つあったそうです。

74手目で道を外れましたが、棋譜コメントでこの形の代表局として挙げていた
去年だったかのA級順位戦『渡辺竜王vs郷田棋王』は面白かったので記憶にありますねえ。

攻めの鋭い竜王の仕掛けに「これは厳しそうだなあ」と見ていたのですが、
郷田さんが3時間の大長考から、神業とも言える手順で受けきって勝利した将棋でした。

本局も負けないような名局になるのを期待ですね。
先手の攻め、後手の受け。勝負の二日目を楽しみに。

二日目。まだまだ続く定跡手順。ここまで来ると、どちらが手を変えるのかが焦点ですね。
その時が来たのは88手目。これまでずっと受けに回っていた後手が反撃の狼煙をあげる8六歩。

玉頭を乱した後に、今度は自陣の歩を払う3三玉。
いつもながら攻守の切り替えが上手いものです。

ただ、感想戦のコメントによると、この手が本局では疑問手だったようで、
この後、じりじりと先手が優勢に。

たびたび攻守が入れ替わる展開は、お互いに決め手を出せず、
「やや先手が良いのでは無いか」と言われていた中、119手目の4一と金。

いかにも筋という一手が、実は悪手だったそうで、実際には優勢だった先手がこれで
大きく形勢を損なったようです。

対局者によると、それでもまだ先手が残していたそうで、
この後、木村さんが「攻め急いでしまいました」と感想戦で語った悔やまれる形となり、
攻めが急所に入らないうちに、再び攻守交代。

後手に負けじと先手も頑張りを見せたのですが、後手の寄せ方が上手く、
ようやく終局が見えてきた気がしました。

終局は162手。木村八段の投了となりました。これで1勝1敗のタイに。

本局は棋譜だけ見たら眩暈がしそうでしたが、解説や感想戦のコメントも含めると、
長い前例の後、羽生さんから動いたものの、数手で疑問手が飛び出し、
以降は優勢だった木村さんが決定打を出せるか、という勝負だったように見えます。

羽生王位は流石の勝負強さでしたね。

矢倉が2局続いた中、3局目も矢倉となるのでしょうか。
後手の応手にもよりますが、矢倉で1勝1敗となりましたし、
何となく違う戦型になるような気がします。

逆に矢倉になるようだったら、とことん矢倉なシリーズになるかもですね。どちらでも歓迎です。

次回の対局は8月5日、6日。場所は札幌ですか。
料理とおやつがいつも以上に楽しみですね~。
なんかすんごい海鮮丼でも出るのを楽しみにしておきます!

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