ジェイクールのスタッフ雑記

電王戦と竜王戦挑決と王座戦の話と。最近の雑記(9月7日)

雑記で触れたい話題が山積みになってしまったので、今回は将棋とそれ以外で分けましょうか。
と言う訳で、まずは将棋の話題。

【電王戦】
9月に『電王戦タッグマッチ』の開催が予告されました。
昨年は放送を見なかったので、今年はとりあえず見てみる予定です。
コンピュータの読み筋を見て、プロ棋士が指すのは面白いのでしょうか。

しかし、このタッグマッチは、メリットが分からないですよね。
『コンピュータ > コンピュータ+プロ棋士』
ここまでの電王戦の結果を受ければ、当然の不等号なので、
「企画モノとして楽しんで下さい」と捉えるべきなのでしょう。

第3回まで開催してきた1対1の『電王戦』は、来年の第4回がファイナルとのこと。
プロ棋士側は勝率の良い若手主体になるそうで、逃げの一手ですね。

ファイナルの翌年以降は、タッグマッチを本格的に棋戦とする構想があるようで、
竜王、名人に次ぐ賞金額を考えているとか。

賞金額で序列が語られる7タイトルに割り込もう、というスタンスもあるのでしょうか。
これがありなら、将棋盤を使わない脳内将棋なども、普通にありですよね。

イベントなどの余興で行われるのは、とても楽しく好きですが、
棋戦化して、7タイトルよりも賞金が高かったりすると違和感ありありです。

「それでいいのか」って感じですよね。
電王戦タッグマッチに関しては、全部コンピュータの候補手を指すのが最善の可能性も有る訳で、
当然、そのように指すことも出来るでしょう。

電王戦は人気コンテンツなので、将棋連盟としては普及に繋がりますし、
ドワンゴとしても視聴数を稼げるビッグコンテンツで、メディアの注目度も高いため、
双方が何らかの形で電王戦を継続したいのは分かりますけどね。

タイトル戦を持つスポンサーの意向や、将棋界のメンツがあるにしても、
羽生名人、森内竜王、渡辺二冠が出場せずに終わってしまうのは、やや残念。
どうせ最後なら、勝っても負けてもで、最強布陣での団体戦が見たかったもんです。

自分が見た中では第2回、第3回、菅井君のリベンジマッチと、
最高に面白かったですし、感動もしました。
全力勝負の真剣勝負から生まれるドラマがどれほど面白いことか。

ここまで楽しめただけでも、逆に感謝しないと行けないのかもですね。
文章を書いていたら、そう思えてきました。
電王戦ファイナルと電王戦タッグマッチが、盛り上がることを期待しましょう。

【竜王戦挑決 第2局】
糸谷君の先勝で迎えた本局。
羽生名人としては、平行して進んでいる棋戦が多い中でも、
ここ一番の対局は、やはりこの挑決でしょう。どんな将棋を見せてくれるか。

戦型は後手の糸谷君の注文に乗る形で一手損角換わりへ。
先手は棒銀から3五歩と仕掛け、矢倉囲い。後手は飛車を4筋に転回して3三金、3四銀の形。

糸谷君は決断良く44手目、4九角打の打ち込み。
この手を機に後手が攻め、先手が受ける展開に。
後手は両方の銀が6段目まで来るという攻めっぷりで中央を手厚く。

ただ、感想戦によると78手目の5六銀では、8二飛が有力だったようです。
糸谷はその変化では決定打に欠けると読んでの本譜でしたが、
ここがターニングポイントだった模様。

以降は、先手が更に良くする変化もあったようですが、
着実な攻めでリードを保ち、最後はきっちりの寄せ。
後手に暴れさせることなく、見事に討ち取った形でした。

負けこそしましたが、糸谷君も持ち味の出た将棋で、
内容的にはとてもよかったのでは無いかと思います。
逆にミスなく指した羽生さんが強かったですね。

これでお互いに先手番で1勝ずつとなり、決着の第三局は振り駒の行方にも注目です。
その第3局は9月8日(月)。明日となります。

羽生さんの永世七冠をかけた戦いは勿論見たいですが、
糸谷君が二日制の将棋でどんな差し回しをするのかも見てみたいですよね。
ハワイ行きの切符を勝ち取るのは果たして。(今年の竜王戦第1局はハワイ対局)

【王座戦第1局】
羽生王座の先手で始まった本局は相矢倉に。
後手になった豊島七段の6四角に対して、先手は4六銀、3七桂の形。
ここからも定跡が続き、先手の1八香に後手は9五歩と端を詰めました。

6五歩と2五桂が見える中、先手は後者を選択。
これに4五歩と銀の行き先を聞いた手に、先手は同銀。
枝分かれはしましたが、まだまだ定跡の進行で手が進みます。

瞬間的に定跡から外れた場面もありましたが、直後の手順で合流して88手目、6九銀打。
研究手順では時間を使わない豊島君が、相手に合わせることの多い羽生さんと指した結果、
88手目が指されたのは午前11時20分。この定跡は先手の3戦全勝だけに後手の新手に注目です。

しかし、先に変化をつけたのは先手でした。
89手目、6八金寄。ここから激しい中でもやや穏やかな進行となります。94手目、2二玉。
この局面での控え室の形勢判断は関東から勉強に来ていた宮田六段を除いて全員後手持ち。

先手が4一飛打と飛車を打ち下ろしたの対し、後手は9六歩と端に手をかけます。
進んで101手目、8一竜。この手には何かしら受ける手が有力と見られていましたが、
後手の選択は攻めの6六歩打。攻め合いでの勝ちを目指した決断の一手。

しかし、本局ではこの手が敗着に。
感想戦によると、豊島君は局面を悲観しての攻め合いだったようです。
ただ、この局面は相当難解だったようで、受けの候補手7一歩打、3二金、どちらもあった模様。

以降は先手の冷静な読みきりで、競り合いとはならず。
121手で豊島七段の投了となりました。

先日の竜王戦挑決でもそうでしたが「あの手が」と惜しまれる一局で、
「将棋はミスをした方が負ける」を続けて実感したような対局でしたね。

羽生さんが強さを見せているだけに、是非これを超えてくれたらと期待します。

王座戦はニコニコ生放送での中継があっただけに、見れないのは残念ですねえ。
ティロホンとか楽しそうで、羨ましい限りです。
来年の今頃はニコ生を聞きながら仕事を出来たら嬉しいもんです。

って所で、将棋の話題おしまい。
「もっとザックリ感想だけ書けば良かったんじゃ」とも今更感。
エヴァとかドラマとかの将棋以外の話は明日以降に書くかもです。

とりあえず、今日のNHK杯をですねっと。

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