ジェイクールのスタッフ雑記

映画『セッション』の感想・批評 そんなに騒ぐような作品じゃないような

「会社帰りに映画を観るのもありだよね」ってことで、
金曜日の帰りにレイトショーで話題の映画『セッション』を観てきました。

「賛否両論」「狂気」「衝撃の10分」など、様々な声を聞いていたので、
期待も大きかったのですが、まず感想としては、そんなに騒ぐような作品ではありませんでした。

ジャズということで「この映画を観てジャズを勘違いされては困る」と、
音楽視点から指摘が入るのは、当然あると思います。

ただ、それは映画を観る上で重要なことかと言えば、そうではなく、
少なくとも音楽的知識の乏しい自分には全く関係のない話で、
演出が意図通りに伝わっているのであれば問題ないでしょう。

音を聴いたところで、演奏シーンをみたところで、
何となく「凄いんだろうな」とは思いますが、それが具体的に
どれほど凄いのかは、分からない人も多いと思います。雰囲気です、雰囲気。

アニメなどでも語られますが、リアルよりもリアリティ。

この映画は常にジャズと共にありますが「高みを目指す妥協なき努力」が本質で、
ジャズ部分に関しては演出という印象を受けました。

ニーマン、フレッチャー共に癖のある人物ですが、
どちらもジャズに関しては、誰より真摯に向き合っており、
そのために必要なら犠牲も仕方ないという部分も一緒だと思います。

本気で物事をやるというのは、自分もこうゆうものだと昔から考えているので、
彼女と別れようが、血を流しながらの練習だろうが、練習が深夜まで続こうが、
何ら不思議にも狂気にも感じる部分はなく、結局「狂気」のシーンを待っている間にエンドロール。

フレッチャーの口の悪さ、厳しさに関しては、
あの手のキャラは既存の映画にもいますし、社会においても近い人物は存在しますが、
初めて見た人にはインパクトがあり、映画の評価に繋がっているでしょう。

メディアはいつも通り「アカデミー賞!」と叫び、
SNS時代らしく、影響力のある人物の批評から対立構図が生まれ、
二極化した賛否両論が展開される。

最近は何でも調べるのが当たり前になりつつありますが、
自分の目で見て感じたことを、大事にして欲しいと思います。

音楽映画らしい熱いハートのある作品で、ニーマンが突き進む姿はとても好きでしたね。
全体として荒く感じた部分も含めて、気持ち先行型の青い映画テイストな印象です。

「個々にどう消化するか」って感じの映画なので、
こーゆー終わった後に、どんな表情をしていたら良いのか分からない映画は、
「人を誘って行きたい映画ではないかな」とも思いました。

この映画を観て「自分もあれぐらい本気で何かをやるぜ」となった人もいるでしょう。
実際にやってみると、現代社会にはどれ程の繋がりがあり、誘惑があり、
いかに難しいことか。

フレッチャーが『Good Job』について語っていましたが、
確かに馴れ合いの『Good Job』に支配された世界は、
心地よく怠惰な、つまらない世界なのかもしれませんね。

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