ジェイクールのスタッフ雑記

NHK杯『佐々木勇気 五段vs行方尚史 八段』大駒乱れ飛ぶ!決着は終盤力で

第64回NHK杯テレビ将棋トーナメント。
本日の対局は『佐々木勇気 五段vs行方尚史 八段』。
佐々木君の将棋は凄い手が飛び出す事が多いので楽しみですね。

解説は村山慈明七段。
今年も3月から始まる電王戦に出場するということで「準備はどうですか?」という話に。
対人と対COMでは将棋の質が全く違うそうで、コンピュータ対策を進めているとのこと。

村山君は本局の両対局者の印象を、どちらも終盤が強く、
佐々木君は対戦相手が思いつかないような手が出る棋士で、
行方さんは終盤の粘り強さと切れ味が凄いと語っていました。

対局前インタビューは先手の佐々木五段から。
今期は4度目ということで、流石に硬いなりに慣れてきたように見えました。

対する行方八段は、今日は・・・大丈夫そうですね(笑
元々シャイなのか、目線を外して喋る姿は、ちょっと可愛いかも。

先手:佐々木五段
後手:行方八段

7六歩、8四歩、2六歩、3二金、7八金、8五歩。
後手はやや時間を使って3二金。角換わりへと進みます。

7七角、3四歩、8八銀、7七角成、同銀、4二銀。
3八銀、7二銀、9六歩、9四歩、4六歩、6四歩。
佐々木君はここまで文字通りのノータイム指し。どこまで続くか。

4七銀、6三銀、6八玉、5四銀、5八金、5二金。
7九玉、4一玉、1六歩、1四歩、3六歩、4四歩。
5六銀、3一玉、3七桂、7四歩、6六歩、3三銀。
戦型は角交換相腰掛け銀となりました。佐々木君の腕組み姿が映っています。

4八飛、4二金右、8八玉、2二玉、6八金右、2四銀。
2四銀は豊島が最初に指した新手だそうです。
この形で、ここで2四銀とは「現代的だなあ」と思いますねえ。

4五歩、同歩、6五歩、8六歩、同銀、6五歩。
先手は仕掛けの突き捨ても軽快にノータイム。
村山君曰く「6五歩は実戦があるかどうか。研究会ではよくある手」だそうです。
後手は時間をかけて8六歩。ここで考慮時間に入ります。

6四角打、7三角打、同角成、同桂、6四角打、7二飛。
後手は、じっと7二飛。佐々木君はこの手を見て初めて手がとまりました。
カメラには行方さんがおしぼりを首の後ろに当てたり、顔を拭く姿が。

1五歩、同歩、3五歩、4四角打、7七銀、8五桂。
1筋の突き捨てを入れて3五歩。
後手は角打ちに先手が7七銀と受けたのを見て、決断の8五桂。

本局は初手合いで、村山君は「両者の実力を考えると意外ですね」と言っていました。
その村山君は、行方さんに奨励会の頃から研究会でお世話になっているそうで、
先日の天彦君のコメントに続いて、面倒見の良い先輩のようです。

4五銀、同銀、同飛、4三歩打、5五銀打、7七桂成。
先手は5五銀と打って、流れを緩やかにする狙いか。

同金直、7五歩、同歩、7三銀打、同角成、同飛。
後手の7七桂成に、先手は時間を使って同金直と応じました。
後手の銀打ちには、少考で角を取り合う形を決断。

4四銀、同歩、5五角打、7六歩打、同金、5四銀打。
5五角打は「とりあえず6五飛で、その後の展開がどうか」と言われていただけに驚きの一手。
対する後手は7六歩打と利かしを入れて5四銀打と切り返しの一手。

4六桂打、4五銀、同桂、3八飛打、3四桂、1二玉。
ここで4六桂打としたのが良い手に見えますねえ。複雑な局面になっています。
後手が飛車を取った手に乗じて先手は桂跳ね。後手はすかさず飛車を打ちおろし、先手の王手に1二玉。

1三歩打、同銀、6九歩打、6七銀打、1四歩打、7九角打。
先手の1四歩打に、後手は村山も挙げていた7九角打の王手で迫ります。

7七玉、6八角成、同歩、同飛成、8六玉、8三飛。
7七玉と9八玉。先手は2つの逃げ道がある中、時間を使って前者を選択。
手順に上部に出た形の8六玉は、読めている印象を受ける手つきに見えます。

この手に後手は、ずっと質駒になっていた飛車を活用する8三飛。
佐々木君が考えています。考慮時間は0分に。

投了。

佐々木君の導き出した答えでした。
村山君も読みきれていなかったようですが、即詰みだったようです。
96手。行方八段の勝ちとなりました。

大盤では村山君が詰み手順を解説。今日は感想戦の時間がありそうですね。
その感想戦では敗着は7七玉で、佐々木君は8三飛をウッカリの頓死だったようです。
話は終始、行方さんが主導していて、改めてその終盤力の凄さが分かります。

行方さんは7七玉ではなく、9八玉なら先手勝ちと読んでいて、
それを踏まえて「終盤に飛車を取った手では角を取った方が良かった」と厳しいですね。

一局を通して、どちらも力を見せた見応えのある内容で、
終盤の5五角打ちからの攻防は楽しかったですねえ。
勝負は互いに評価されていた終盤力で決着となりました。

結果は残念でしたが、佐々木君も力を示した一局だったと思います。
来期も予選を勝ち上がって、テレビで観れたら嬉しいですね。

次回の対局は『森内俊之 九段vs菅井竜也 五段』。
楽しみな対局が続きます。次週も必見でしょう。
と言いつつ、再来週はハッシーなので、再来週も必見なのです。

解説は谷川浩司九段。
何だかどんな話が聞けるのか、こちらも凄く楽しみですね。

来週はトヨタとニコニコのコラボ企画で、駒を車に置き換えたリアル車将棋もあるので、
興味がある方はそちらも是非。
羽生さんと豊島君がどんな棋譜を描くのかワクワクです!

いま調べたら、NHK杯と時間がかぶる部分もありますが、
両方見たらいいでしょう。公式のリンクも置いておきます。

リアル車将棋
http://ex.nicovideo.jp/denou/kurumashogi/

【先週のNHK杯】
NHK杯『飯塚祐紀 七段vs屋敷伸之 九段』角交換から5筋突き!意欲的な序盤の成否は
【翌週のNHK杯】
NHK杯『森内俊之 九段vs菅井竜也 五段』攻める菅井、守る森内。矛は鉄板を貫けたのか
【行方八段の三回戦】
NHK杯『藤井猛 九段vs行方尚史 八段』気合の両雄!妥協なき序盤戦
【佐々木五段の三回戦】
NHK杯『佐々木勇気 五段vs大石直嗣 六段』白熱の攻防戦。天才的な一手で盤上は一変!
【人気のNHK杯】
NHK杯『渡辺明 二冠vs佐々木勇気 五段』超激戦!二転三転のドラマは名局賞級!
NHK杯『橋本崇載 八段vs郷田真隆 NHK杯』ハッシーの棋士人生を懸けた戦いがここに!
【好きなNHK杯】
NHK杯『木村一基 八段vs森内俊之 竜王』木村将棋全開!受け師の本領発揮も勝負の一手を踏み込めず
【記事一覧】
将棋記事多めのジェイクールのスタッフ雑記一覧はこちら